2011年 11月 27日

家元 其之弐

思ったよりもTVでも新聞でも大きく取り上げられて、
あれ?こんなに有名人だったのかネ、ってくらいに。
土曜日のニュースキャスターだっけ?、ビートたけしが出ているニュースショー、
たけしが何を語るかな、と注目して見た。

「談志さんは古典落語がちゃんと理解してもらえない時代に生きてしまったことを
ずっと歯痒く思っていたと思う。悔しかったろうなと思う。
志ん生、文楽と同じ時代に生きていたら、今の評価どころじゃなかったと思う」

もっと乱暴エピソード話っぽくなると思っていたのに、
意外にも、結構な芸談になった。
たけしの言っていることは、本当にそうなんだと思う。
だって、もう今、古典落語を自分のものとして分解して組み立てて、
きちんと提供してくれる噺家さんはほとんどいないもの。
私にとっては、家元が、その、最後のといっていい、一人だった。
家元が、戦後にすぐ売れるような時代に生きていたら、
もっと落語に集中できただろうし、余計なことを考えなくても良く、
風雲児だの異端児だの、妙な評価もつかなかったかもしれない。
何か変わったことをしようとした人ではないのだもの。
古典落語を愛し、自分の頭と心で噛み砕いて伝えようとした噺家、
稀代の名人上手、それだけで良い。

ここ何日かのTVで、30代から去年の映像までいろいろ見たけど、
50代の脂の乗りっぷりが半端じゃないことに気が付いた。
私の手元にあって、上演頻度の高い映像のほとんどは50代のものなので、
それに見慣れていると40代の噺は雑で嫌味に論理的だし、硬いし、
60代はやたら偏屈っぽくて、70代は声が出ていなくて、
50代の「ちょうど良さ」は絶品。

ニュースショーでは家元の破天荒っぷりを中心に、
そりゃもちろんそれがTV的においしいからだけど、
良い落語のカットが少なかったなァという印象。
「ん?それ?そこ?」みたいな。
噺のチョイスもそうだし、ポイントのチョイスもそうだし。
V制作者の趣味なのかな。普段見ないものが多くて面白かった。

自分は今度何を聞けばいい?って、思い付かないのだな。
今聞きたい人、居ないわけではないけど、
例えば東京以外にまで行ってまで聞きたい人が居るかってーと、居ない。
私は新作よりも古典落語の方が断然好きだけど、
古典を語って馴染んで、かつ満足させてくれる噺家さん、もうそんなに居ない。
柳家小三治、桂米朝くらいか。
それでも、心をえぐられるような感覚を与えてくれる方々ではない。

今までいろんな芸能や芸人を見てきたつもりだけど、
私の最高の褒め言葉である「えぐる」と「悪魔的」と「気持ち悪い」と思える人は
そんなには居ない。
これまで見たものでそこに当てはまっているのが、
歌舞伎役者の市川猿之助と中村勘三郎、落語家の家元、の3人。
猿之助が舞台から退き、家元が亡くなった今、
私が無条件に見るものは勘三郎の舞台だけになってしまった。
もう一人ぐらいは増やしたいけど、どうするかな。
最近は尾上菊之助がだいぶそこに近づきつつあるか。
今度小林賢太郎の舞台を見る機会がありそうだけど、
何かグッとくるものがあるのかどうか。
あるといいな。
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by pocket-xiao | 2011-11-27 02:20 | いとし、しほらし、かはいらし


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