2004年 10月 10日

ガクモンの勧め

「学部は?」とか「卒論何書いたの?」とか、聞かれますけど。
S大学文学部文化学科。通称「ブンブン」。
名前からは何をやっているのか分からない学科。
まぁ、つまりは。何やってもいいよ、ちゃんとやれば学科。

専攻は近世日本文化史、演劇史、そんなとこ。
「心中の研究してました」って言ったら、それも本当の話で。
心中、って英語で
double suicide from love、っていうそうですね。
愛ゆえの共同自殺、てところ。

 トコロデ。
 自殺希望者サイトとかいうところで一緒に死んでくれる人を探す、
 というのがあるそうですが、まったくケシカラン話です。
 その行為自体もそうですが、それが「心中」と報道されるのが嫌です。
 
私が研究していた心中は、例えば
「曽根崎心中」や「心中天網島」などの、
お芝居として取り上げられた”江戸時代の心中”です。
それに付随して駆け落ちや不義密通なんてのも研究対象デシタ。
ずいぶんとまぁ、ずいぶんな内容の研究で・・・。
 
 実際、大阪で一件の心中事件が起き、それが人形芝居になって大当たりした後、
 大阪では心中事件が多発したそうです。
 そして江戸でそれが歌舞伎になって上演され、
 江戸でも心中事件は「流行」しました・・・って、
 まぁこんな内容のことを卒論では扱っていたようなワケで。
 ちゃんと当時の記録から事件を抜き出して結論付けたりしてました。

なぜ、心中を研究対象にしたのか。その理由。
心中芝居の中の、ある一文に、惚れこんでしまったのです。
近松門左衛門作「曽根崎心中」、といえば
奉公人徳兵衛と遊女お初の心中事件の顛末を描いた作品です。
それを原文で読んだとき、見つけた一文。
死を覚悟して目を瞑るお初に短刀を突きつけながら、
徳兵衛は、はらはらと、涙を流して心の中で叫びます。

 長年 いとし、かわいと締めて寝し
 肌に刃が 当てらりょうか

私はこの2人、というか、心中した全ての人は、
あの世で夫婦になることを誓って、そのことで幸せを感じながら死んでいったのだと、
勝手にずっとそう思っていました。
でも実際は(まぁこれも芝居の脚本だけれども)、
出来る事ならば、殺したくない、死にたくない、と思っていた・・・そうだったのか!
死に行くのも愛ゆえ、殺せない死にたくないのも愛ゆえ。
心中のし損ないは多く、晒し者になるという恥刑に処されたそうです。

モチロン、もっと、ちゃんとした文章を書きましたよ。
その卒論は学科の優秀論文三作の内に選ばれました。
これだけは自慢!!
この勝手な研究に付き合ってくれたI先生に感謝あるのみ、ですよ。
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by pocket-xiao | 2004-10-10 00:53 | 雑言タハゴト


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